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話題

退職者連合の高齢者医療制度改革・最終まとめに対する見解

2011年1月27日 09:53

政権交代により全面見直しが開始された高齢者医療制度は、0911月以降「高齢者医療制度改革会議」を重ね、101220日の会議で最終まとめを報告した。

退職者連合は委員として参画した阿部事務局長を中心に確認された要求を実現すべく各地域の公聴会を含めて取り組みを進めてきた。これらの到達点について、11年1月18日の退職者連合幹事会は下記のように見解を明かにし、速やかな法案提出と成立を目指すことを明かにした。

 

高齢者医療制度改革会議報告

退職者連合第3回幹事会:2011年1月18日

 

1.  政府は、2009年10月、後期高齢者医療制度廃止後の新たな制度をつくるため、厚生労働大臣主宰の高齢者医療制度改革会議を設置し11月から審議を開始した。また、改革会議の審議に当たっては、厚生労働大臣より示された次の6原則を踏まえ検討を進めてきた。

<厚生労働大臣6原則>

 ①後期高齢者医療制度は廃止する

 ②マニフェスト(政権公約)で掲げている「地域保険としての一元的運用」の第一段階として、高齢者のための新たな制度を構築する

 ③後期高齢者医療制度の年齢で区分するという問題を解消する制度とする

 ④市町村国保などの負担増に十分配慮する

 ⑤高齢者の保険料が急に増加したり、不公平なものにならないようにする

 ⑥市町村国保の広域化につながる見直しを行う

 

<新しい高齢者医療制度の創設までのスケジュール(見込み)>

年 月 日

改革会議の設置から新しい制度の施行まで

平成21年11月30日

高齢者医療制度改革会議開始

平成22年 8月20日

中間とりまとめ⇒意識調査の実施⇒地方公聴会

平成22年12月20日

最終とりまとめ⇒制度決定まで1年

平成23年1月~3月

法案提出

平成23年 春

法案成立 ⇒ 法案作成から成立まで半年

平成25年3月

新しい高齢者医療制度の施行⇒施行準備2年⇒政省令の制定⇒全ての市町村等でコンピュータシステムの改修⇒実施体制の見直し・準備・広報

*平成30年を全ての年齢について国保を広域化する目標時期とする

<改革会議委員名簿> ○座長

阿部 保吉   日本高齢・退職者団体連合 事務局長

池上 直己   慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室教授

岩見 隆夫   政治評論家・毎日新聞客員編集委員

○岩村 正彦   東京大学大学院法学政治学研究科教授

岡崎 誠也  全国市長会 国民健康保険対策特別委員長 (高知市長)

小島      日本労働組合総連合会 総合政策局長

鎌田      諏訪中央病院名誉院長

神田 真秋   全国知事会 社会文教常任委員会委員長(愛知県知事)

見坊 和雄   全国老人クラブ連合会 相談役・理事

小林 剛   全国健康保険協会 理事長

近藤 克則   日本福祉大学社会福祉学部教授

齊藤 正憲   日本経済団体連合会 社会保障委員会医療改革部会長

対馬 忠明  健康保険組合連合会 専務理事

堂本 暁子  前千葉県知事

樋口 恵子  高齢社会をよくする女性の会 理事長

三上 裕司  日本医師会 常任理事

宮武 剛     目白大学大学院生涯福祉研究科教授

藤原忠彦    全国町村会:山本文男委員の後任(長野県川上村長)

横尾 俊彦   全国後期高齢者医療広域連合協議会会長(佐賀県後期                                                              高齢者医                     高齢者医療広域連合長・多久市長)

 

2.改革会議は、上記名簿の通り19名の委員で構成されたが、政府の要請に基づき退職者連合から委員が参画することとなった。退職者連合は、医療・福祉専門委員会で改革会議に臨む基本方針をまとめ、幹事会で確認のうえ、委員に就任した阿部事務局長が改革会議で主張してきた。

<退職者連合の基本6項目>~≪前提とする考え方≫(具体的課題=略)

①公的国民皆保険を持続させる

②国際的に見て低い水準の医療費総額を増額し、医療供給体制を安定させる

③事業主負担を含む保険料を重視し、税との適切な組み合わせで財源を確保する

④年齢による別制度としない。診療や健診について年齢による区分をしない

⑤制度間の均衡と整合性が増すよう、制度改革の機をとらえ、可能なことから改革

 を進める。

⑥中長期的展望を持ち、これにつながる段階的改革を目指す(制度改革と移行に当たっては混乱を最小限にするため、被保険者の理解と納得を重視する)

 

3.改革会議は、2009年11月30日の第1回会議から月1回のペースで開催され、2010年8月には中間とりまとめを公表した。厚生労働省は中間とりまとめの前後に、厚生労働省講堂で開催したグループ討議をはじめ、全国6ブロックで地方公聴会を開催し広く国民の意見を聴取することとした。

退職者連合は、地方公聴会へ積極的に参加し、後期高齢者医療制度の廃止・新制度の早期実現に向けた意見反映を行うため、各ブロック代表による対策会議を開催し、参加人員の確保や公聴会における主張内容の意思統一を図った。

グループ討議は、退職者連合医療・福祉専門委員から6名が参加し全員が意見を述べるとともに、地方公聴会では名古屋(東海・北陸ブロック)を除く、全国5ブロックの会場で地方組織の代表者が意見発表を行った。

 

昨年9月以降改革会議は、中間とりまとめの中で残された課題について論議し12月20日の第14回改革会議で、「各委員が全ての点で納得・合意することは困難な面があり、委員の意見の大勢をとりまとめたものである」との座長見解を受け止め最終とりまとめ(案)を了承した。

○最終とりまとめは、退職者連合の主張からみて不十分さは残るものの、退職者連合が第1回改革会議から主張してきた『新たな高齢者医療制度の施行により、後期高齢者医療制度を廃止する』『国民皆保険を堅持する⇒そのために国民皆保険を支える国保を充実する⇒市町村国保を都道府県単位へ広域化し国保の財政基盤を安定させる⇒国保の保険者は都道府県とする』ことについて、前進を図ることができたと考える。

○また、国保の財政運営を都道府県単位に広域化するに当たって、全年齢(国保の全ての加入者)を対象とした移行目標年度(2018年)を明示したこと、75歳以上高齢者の医療給付費に対する現役からの支援金について総報酬割を導入できたこと等については、退職者連合が目指す制度改正の方向と一致する到達点が得られたと判断する。

○阿部事務局長は、12月20日の最終の改革会議で厚生労働大臣に対し、最終とりまとめに基づく改正法案(国民健康保険法等の一部改正)を国会に提出するとともに早期に成立を図り、政府・民主党が公約した後期高齢者医療制度を確実に廃止するよう強く主張した。

 

高齢者のための新たな医療制度等について<最終取りまとめ>

平成22年12月20日 高齢者医療制度改革会議

 

1.制度の枠組み、加入関係

○後期高齢者医療制度を廃止し、地域保険は国保に一本化する。

○加入する制度を年齢で区分することなく、被用者である高齢者の方や被扶養者は被用者保険に、これ以外の地域で生活している方は国保に加入する。

* 以下、囲い文書は「最終取りまとめ」の要点抜粋である

* 経過説明

○新しい高齢者医療制度の施行に伴い、それまでの後期高齢者医療制度の加入者は、被扶養者を含め元々国保に加入していた人は国保へ、被用者保険に加入していた人は被用者保険に加入することとした。従って、後期高齢者医療制度の被保険者数1,400万人の内1,200万人は国保へ、200万人は被用者保険に加入することになる。

なお、後期高齢者医療制度の保険料は、個人単位で納付義務が課せられていたが、新制度においては世帯主(扶養者)が納付義務を負うことになる。

○制度の枠組み・加入関係では、健保連や連合等の提案など各団体の主張があり、長時間わたり論議を重ねたが、中間とりまとめの段階では退職者連合主張の内容となった。つまり、退職者連合が主張した①職域保険と地域保険は当面分立とする ②年齢で区分した制度ではなく、全年齢が職域保険か地域保険に加入する、ことが実現した。

 

2.国保の都道府県単位の財政運営

○新たな制度の下では、多くの高齢者が国保に加入することとなるが、単純に従前の市町村国保に戻ることとなれば、高齢者間の保険料格差が復活し、多くの高齢者の保険料が増加する。

○このため、新たな制度では、まず第一段階において、75歳以上について都道府県単位の財政運営とし、全年齢の広域化は第二段階で実施する。

* 経過説明

○退職者連合は、国保財政運営の二段階広域化は、第一段階では75歳以上の高齢者とそれ以外の保険料が異なることになるので、2013年(平成25年)3月の新しい高齢者医療制度の実施段階で、一挙に都道府県単位へ移行するよう主張した。

○しかし、厚生労働省は、①後期高齢者医療制度発足によって市町村国保から都道府県単位(広域連合)へ移行したことにより、同一県内では保険料格差が解消されている、これが従前の市町村国保に戻ることで、高齢者間の保険料格差が復活することは避けたい ②現行制度への移行により相当数の加入者は、それ以前より保険料負担が減っている、従前の国保に戻ることで負担増になることは避けたい、という理由から2013年3月の新しい高齢者医療制度の施行時は、「第一段階」として75歳以上高齢者の都道府県単位の財政運営を先行実施することに固執した。

○退職者連合は、一挙広域化を主張しつつ、仮に二段階方式とする場合は、第二段階の全年齢広域化を速やかに実施することとその時期の明示を求めた。中間取りまとめでは、「当面、74歳までの市町村国保と、75歳以上の都道府県単位の財政運営が併存することになるが、早期に全年齢を対象とした都道府県単位化を図り、簡素で分かりやすい制度体系としていくことが必要である」としていたが、最終とりまとめでは後述のように、「(第二段階への移行の目標時期については)第一段階の施行から5年後(平成30年度)を目標とすることとし、法律上これを明記する」こととした。

 

3.第一段階における国保運営(75歳以上)の仕組み

○都道府県と市町村の分担

 ・都道府県は、財政運営、標準(基準)保険料率の設定を行う。

 ・市町村は、保険証の発行を含む資格管理、標準保険料率に基づく保険料の決定、賦課・徴収、保険給付、保健事業を行う。

     経過説明

○第一段階では75歳以上の国保加入者について、先行して都道府県単位の運営とすることとされたが、広域化が望ましい財政運営と、身近なサービスが望ましい資格管理や給付等に関する分担のあり方が検討された。その結果、上記のように都道府県と市町村が分担と責任を明確にしつつ、共同運営する仕組みとする結論になった。

○なお、国保の運営主体は、第一段階(75歳以上)、第二段階(全年齢)それぞれについて「都道府県」か「広域連合」かについての意見が対立し、最終とりまとめまで論議が継続された。最終的には市町村による広域連合ではなく都道府県が担うことが適当であるとの意見が大勢であったが、国が都道府県の理解と納得を得るために努力する必要性も指摘された。退職者連合は、当初から保険者は都道府県とするよう主張した。

○全国知事会は、政府の大幅な財政負担を求め、これが明確にされない限り了解できないとして最後まで反対した。このようなことから、最終とりまとめでは、厚生労働省(政務三役)と地方(全国知事会・全国市長会・全国町村会・全国広域連合協議会)で構成する「国と地方の協議の場」を設置し、財政基盤強化策のあり方や、市町村国保の法定外一般会計繰り入れの解消に伴う支援のあり方等について検討することとなった。

 

4.国保の全年齢での都道府県単位化(第二段階)に向けて

○第二段階に向けては、①保険料の設定(高齢者と現役世代の保険料を別々とするか、一本化するか) ②費用負担のあり方(被用者保険と国保の間の財政調整の方法をどうするか) ③事務体制のあり方(都道府県と市町村の役割分担の見直し)について検討する必要がある。

○第一段階はあくまで暫定的なものであり、速やかに全年齢での都道府県単位化を図ることが必要である。具体的には、市町村国保保険料の平準化等行うために必要な期間を勘案して、第一段階の施行から5年後(平成30年度)を目標とすることとし、法律上これを明記する。

     経過説明

○退職者連合は、全年齢を対象とした国保の都道府県単位への移行を前提として、高齢者の保険料は応能負担を原則として、全年齢統一の料率を設定することを繰り返し主張した。

○この主張に対し全国知事会は、国保全般のあり方の議論が尽くされないまま、第二段階の方針・時期・運営主体等を法律に明記することに反対である、との考えを最後まで主張した。このような論議の中で最終とりまとめでは、「第二段階に向けては、保険料・費用負担・事務体制等について結論を得ることが必要だが、現時点で拙速に判断することは適当ではなく、第一段階の施行状況等も見ながら検討することが必要」と記載するにとどまった。

○しかし、第一段階はあくまで暫定的なものであるとして、退職者連合が主張した全年齢を対象とする都道府県単位への移行(第二段階)目標時期について、平成30年度(2018年度)と明確にさせ法律上これを明記することとしたことは前進である。長期に及ぶこととはなったが今後継続して取り組むべき重要な課題といえる

 

5.費用負担

○65歳以上については、一人当たりの医療費が高く、国保・被用者保険間の加入者数に大きな偏在が生じることから、引き続き、これらの方の医療費を国民全体で負担する仕組みを設ける。

○75歳以上の医療給付費については、公費、75歳以上高齢者の保険料、75歳未満の加入者数・総報酬割に応じて負担する支援金で支える。

○65歳から74歳の方についても、国保に偏在する構造にあり、これについても費用負担の調整が必要であることから、現行の前期財政調整と同様の仕組みを設ける。

     経過説明

○退職者連合は、財政調整について「65歳以上の医療費について高齢者医療費勘定を設け、現在の65~74歳を対象とする前期高齢者医療財政調整方式を75歳以上にまで拡大する。高齢者医療費勘定への公費の投入は、75歳以上医療費の5割とする」ことを主張してきたが、今回の到達点は「75歳以上の勘定を設定して、国保保険料に加えて公費5割と現役世代からの支援金で支える」「65~74歳について現行の前期高齢者医療財政調整と同様の仕組みを設ける」とするにとどまった。

○75歳以上の医療費については、支え合いの原則に基づき、75歳未満からの支援金が拠出されているが、現行の制度では各保険者間の加入者割となっていた。新たな制度においては、退職者連合が主張してきたように、加入者割から総報酬割=応能負担に改正し負担の公平性を図ることとした。

 

6.公費

○公費については、高齢者や現役世代の保険料負担の増加を抑制するために、効果的な投入を図りつつ、充実させていくことが必要である。

○現行の高齢者医療制度は、75歳以上の医療給費に約5割の公費(平成22年度予算:5,5兆円)を投入しているが、現役並み所得を有する高齢者(約120万人、約7%)の医療給費には公費負担がなく、その分は現役世代の支援金による負担となっていることから、新たな制度への移行時にこれを改善し、実質47%となっている公費負担割合を50%に引き上げる。

* 経過説明=略

 

7.高齢者の保険料

○国保に加入する75歳以上の保険料については、同じ都道府県で同じ所得であれば、原則として同じ保険料とし、現行の後期高齢者医療制度より増加することのないよう、引き続き、負担能力を考慮した応分の負担として医療給付費の1割相当を保険料で賄う。

○現行制度においては、75歳未満の現役世代の負担の増加に配慮し、「現役世代人口の減少」による現役世代の保険料の増加分を、75歳以上の高齢者と現役世代で折半し、高齢者の保険料の負担割合を引き上げる仕組みとなっている。これは高齢者と現役世代の保険料規模の違いを考慮していないため、高齢者の保険料の伸びが現役世代の保険料の伸びを上回る構造となっている。

○このため、「高齢者人口の増加」と「現役世代人口の減少」に伴う現役世代の保険料の増加分を、高齢者と現役世代の保険料規模に応じて分担する仕組みとして、高齢者と現役世代の保険料の伸びが均衡するようにする。

     保険料の上限については、現在、後期高齢者医療制度は50万円(個人単位)、国保63万円(世帯単位)となっているが、国保の上限に一本化した上で、被用者保険の上限も勘案しつつ、段階的に引き上げる。

○75歳以上に適用されている低所得者の保険料の特例措置(均等割の9割・8,5割軽減、所得割の5割軽減)については、75歳未満の国保の軽減措置との整合性を踏まえ、段階的に縮小する。なお、実施に当たっては、9割軽減の保険料は全国平均で月額350円程度に抑制されていること、75歳未満の国保では最大で7割までの軽減であり、世代間の公平性を考慮する必要性があること等について十分な説明を行いつつ進める。

     経過説明

○後期高齢者医療制度の保険料は、2年ごとに改定されるが2010年度(平成22年度)の改定では14,2%もの引き上げが必要となった(結果的には財政安定化基金等の支出により、全国平均3%前後に止めた)。このような急激な上昇は、現行制度が現役世代と高齢者の保険料規模の違いを考慮せず、現役世代の負担増分の1/2を高齢者が負担するルールになっていたからである。

新たな制度においても75歳以上高齢者の医療費の5割は公費、4割は現役世代の支援金、75歳以上の保険料1割で現行と同じ負担構造であるが、高齢者の保険料の伸びを現役と同じ程度に抑えるための仕組みに変えた。

現役世代の保険料増加分を、高齢者と現役世代の保険料規模に応じて負担する仕組みとしたことにより、加入者規模が圧倒的に多く、また、所得水準の高い現役世代の負担が増加し、75歳以上高齢者の負担は減少することとなり、高齢者に対する差別的な制度から応能負担原則の制度に改善されることとなる。

○高齢者の保険料の上限については、「国保保険料の上限は職域保険と均衡するよう引き上げる」よう主張してきた。最終とりまとめでは、国保の上限に一本化したうえで、被用者保険の上限も勘案し段階的に引き上げるとしており、応能負担の原則からみて妥当なものと考える。

○低所得者の保険料軽減特例措置の段階的縮小については、公費による助成を行い急激な上昇を抑制するよう配慮すべきである。

 

8.現役世代の保険料による支援

○後期高齢者医療制度に対する支援金については、被用者保険者間では財政力にばらつきがあることから、加入者数に応じた負担では、財政力が弱い保険者の負担が重くなっている。

○従って、財政力の弱い保険者の負担が過重とならないよう、負担能力に応じた仕組みにすべきであり、新たな制度においては、被用者保険者間の按分方法を全て総報酬割りとする。

○これにより比較的所得の高い共済組合や健保組合の負担が増加することとなるが、負担能力に応じた公平な負担とする趣旨であることについて理解を求めていく必要がある。

* 退職者連合が主張してきた総報酬割=応能負担による財政調整が、当面75歳以上について実現したものである。65歳以上の高齢者医療費勘定の実現と、そこでの総報酬割りの実現が次の課題である。

 

9.患者負担

○患者負担については、これまで義務教育就学前は2割、それ以降69歳までは3割、70歳から74歳まで2割、75歳以上1割と、年齢に応じて負担割合を設定する方向で見直しが行われてきた。しかしながら、70歳から74歳までの患者負担については、現在、2割負担と法定されている中で1割負担に凍結されている。

○仮に、70歳から74歳の負担割合を単純に引き上げることとした場合には、今まで1割負担であった方の負担が急に2割へと増加する一方、1割負担に恒久化した場合には現役世代の保険料負担が増加する。

○このため、高齢者の負担及び現役世代の保険料の負担にも配慮し、70歳から74歳の患者負担について、新たな制度の施行日以後、70歳に到達する方から段階的に本来の2割負担とする。

○すなわち、既に1割負担となった方の患者負担を2割に引き上げるものではなく、69歳までは3割負担だった方が70歳に到達するときから順次2割負担となるものであり、個々人の負担が増加するものではない。

     経過説明

○最終とりまとめは、70歳から74歳までの患者一部負担については、新たな制度の施行日に70歳に達している人は75歳まで1割負担(75歳からは1割負担)とし、施行日以降70歳に達した人から順次現行制度本則に戻して2割負担(69歳までは3割負担)としたものである。

○退職者連合は、65歳以上の患者の一部負担は、保険の助け合い原則に基づき所得に拘わらず1割とし、所得差は保険料に反映するよう主張しており、最終まとめはこれとは逆方向になる。

 

10.健康つくり、良質で効率的な医療の提供等

○今後増大が見込まれる医療費を広く国民の納得を得て負担いただくためには、医療の内容・水準を確保するとともに、国民が健康つくりに取り組む環境を整備することが必要である。

○そのため、都道府県・市町村・保険者等で構成される協議会を都道府県に設置し、地域の関係機関が一体となって取り組む体制(健康増進・医療費の効率化のため)を整備する。

○新たな仕組みの下では、健康診査、保健指導について、75歳以上の方も75歳未満の方と同様に、各保険者の義務として行うこととする。なお、国保の健診等の費用は、75歳未満と同様、国、都道府県はそれぞれ1/3を負担することとする。

○医療サービスについては、急性期医療、慢性期医療、在宅医療までの切れ目のないサービス、地域医療のネットワーク化などが求められている。特に、医療と介護の両方のニーズをもつ高齢者にとっては、地域ごとに医療・介護・福祉サービスが継続的に提供される体制つくりが求められている。

○平成24年4月には、6年に一度の診療報酬・介護報酬の同時改定が見込まれており、これに向けて、医療・介護の一体的見直しを行うことが必要である。

     経過説明

:○国民の健康つくりについては、かつて長野県が県・市町村・保健所・診療所・医療機関等が長年努力し大きな成果を上げたことを紹介し、政府は地方任せではなく、国・都道府県・市町村・医療機関が一体となって取り組むよう主張した。最終とりまとめは、健康増進と医療費の効率化が前提とはなっているが、都道府県・市町村・保険者等で構成される協議会を都道府県に設置し、地域の関係者が一体となって取り組む体制を整備するとしている。今後はその実施状況を検証しながら取り組みを進めて行く必要がある。

○後期高齢者医療制度で努力義務という差別的な扱いを受けていた健康診査、保険指導については、75歳未満と同様保険者の義務として行うこととなり、国保の健診等の費用については国・都道府県がそれぞれ1/3を負担することとした。

○2012年(平成24年)4月に、6年に一度の診療報酬・介護報酬の同時改定と、これに向けた医療・介護の一体的見直しを行う必要あるとしているが、退職者連合として今後十分な検討を行い新たな要求を確立する必要がある。

 

11.施行準備等

○新たな制度を運営するためには、保険者等のシステムを万全なものにすることが重要であり、後期高齢者医療制度導入時の反省に立って、約2年間の準備期間を確保する必要がある。

○新たな制度への移行に伴う運営主体の変更により、保険給付等の権利義務の継承、広域連合の解散などについて、国及び関係機関において確実に対応することが必要である。

○併せて、国民に新たな制度について理解していただくため、国は、地方自治体や保険者と協力しながら、国民に対する分かりやすい広報に取り組むことが必要である。

     経過説明=略

 

12.おわりに

○1961?昭和36)年度に、全ての市町村において国保の運営を行うこととなり、国民皆保険が達成されたが、来年度で国民皆保険50周年を迎える。世界に冠たる我が国の国民皆保険制度は、国民の安心感の基盤であり、将来にわたって堅持していかなければならない。

○このような中で、今回の新たな制度は、支え合い・助け合いを進め、公費・高齢者の保険料・現役世代の保険料・患者負担の組み合わせによる制度の実現を目指したものである。

○国民皆保険50周年という節目の年に、国保の都道府県単位化に道筋をつけることは、医療保険制度の歴史において極めて大きな一歩である。

○今後、厚生労働省においては、最終とりまとめを踏まえ、法案提出に向けて取り組むこととなるが、国民皆保険を堅持し、持続的で安定した医療保険制度を構築する責任を有する国においては、財政的な支援のあり方等を含め、運営を担う都道府県・市町村の十分な理解を得て対応することが不可欠である。

○厚生労働大臣においては、この1年間にわたる本改革会議の議論を踏まえ、現行制度の問題点や新制度の意義を国民に分かりやすい言葉で説明し、広く国民の納得・信頼・安心の得られる医療制度改革を実現することを強く望む。

:* 経過説明

○退職者連合基本6項目の第1項に掲げ第1回改革会議で主張した「公的国民皆保険を持続させる」ことについて、最終とりまとめは「世界に冠たる我が国の国民皆保険制度は、国民の安心感の基盤であり、将来にわたって堅持していかなければならない」と強調した。また、一方で、「安心感を確保するためには、相応の負担により国民全体で医療保険を支えていく必要がある」こと。「高齢化の進展に伴い医療費が増大していく以上、新たな制度をどのようなものにするにしても負担増を伴わざるを得ない」ともしている。

○最終とりまとめは最後に、厚生労働省はこの最終とりまとめに基づき、法案提出に向けて取り組むことになるが、厚生労働大臣はこの1年間にわたる本改革会議の議論を踏まえ、広く国民の納得・信頼・安心の得られる医療制度改革を実現することを望む、と結んでいる。