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話題

自治退、社会保障・税共通番号法成立にあたり、見解まとめる

2013年6月18日 09:32

自治退は 5月24日、第 2回役員会において、社会保障・税共通番号法の成立にあたって、つぎのとおり、見解を明らかにした。

社会保障・税共通番号法案通過にあたって

2013年 5月24日
全日本自治体退職者会

「社会保障・税共通番号法」は5月9日の衆議院本会議、5月24日の参議院本会議で与党・民主党などによる賛成多数で可決され成立した。
民主党政権時に、通称「マイナンバー法」案が給付つき税額控除を実施する基盤と位置付けられ、提出されたが、自公の賛成が得られず廃案となっていた。政権交代後自公政権は、マイナンバー法案とほぼ同内容の番号法「全国民に12桁の個人番号をふり、2016年1月から始動する」を再提案、今回の可決に至った。
自治退は個人番号について基本的に、"王は悪事をなす"という警句が示す「国家権力による市民管理強化」に反対する視点で対処してきた。
他方、民主党政権のもとで、「納税者権利憲章」制定により、徴収される税から納める税への理念転換がめざされたことにあわせて、給付つき税額控除の制度検討が開始され、その基盤として番号が位置付けられた。これらについては自治退も支持する立場をとり、これらが一体性を持って推進される場合は、次の二つの条件を満たすべきだと主張した。
1. 技術・倫理両面から個人情報の漏洩・改竄を防止する仕組みを確立すること。あわせて、侵害が生じた際の制裁・補償のルールを予め明示すること。
2. 番号は個人の特定にのみ使用し、社会保障の負担と給付に関する個人会計とは将来にわたって完全に遮断することを明記すること。(2001年5月自公政権時代の経済財政諮問会議で唐突に民間有識者議員連名による「社会保障番号と社会保障個人会計を同時導入せよ」とする提言があった。再分配による助け合いである社会保障の原理を否定し、いずれ「個人単位で負担と給付を均衡させる」ことにつながる個人会計は容認できない。)
番号自体は道具であり、市民の権利保障にも権利侵害にも用いられるが、一旦設定された番号は機能を肥大させて権利侵害に向かう危険性を常に持っている。
今回の法制化にあたって現政権は給付つき税額控除を否定しており、納税者権利憲章についても否定した。加えて、政権周辺には社会保障個人会計を発想した「有識者」の多くが再起用されており、個人会計導入も現実味を増している。この状況で設定される番号は、単に行政側の国民管理・権利抑制の道具にしかならない。
また、検討されている2018年からの番号民間利用解禁を含めて、現政権の姿勢と力量からは個人情報の漏洩・改竄・なりすましを防止することは事実上不可能で、回復不能な被害が想定される。
以上のことから、今次の法制定には反対であることを明らかにする。

     
以 上