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2. 憲法改悪反対、戦争法の廃止をめざし、平和と人権・環境と地方自治を守ります


(1) 平和・主権在民・基本的人権を定めた憲法理念を守り、憲法第25条の遵守を求めると共に、憲法改悪に反対します。戦争法・共謀罪法・特定秘密保護法廃止を求めます。このため、「安倍9条改憲NO! 全国市民アクション」が呼びかける3千万人署名に取り組みます。
(2) 沖縄をはじめ全国の米軍基地・自衛隊基地による市民生活・環境の破壊を許さず、軍事基地の撤去・縮小を求めます。なかんずく普天間基地の速やかな撤去を求めると共に、移転を口実にした辺野古新基地建設・高江オスプレイパッド建設強行に反対します。また、米軍オスプレイの横田基地配備、自衛隊のオスプレイ購入、訓練と称して全国を我が物顔に飛び回ることに反対します。日本市民の権利を無視した「日米地位協定」の抜本改定を求めます。
(3) 平和・核兵器廃絶を求める行動に積極的に参加し、日本の「核兵器禁止条約」への一日も早い参加をめざします。
(4) 人種・民族・性などの少数者を対象に、差別宣伝や攻撃が蔓延しつつあります。ヘイトスピーチといわれるこうした攻撃の対象は、在日韓国人・朝鮮人をはじめ、中国人、ブラジル人、被差別部落の人々、障害者、生活保護受給者などに拡がっています。さらに、従軍慰安婦問題や南京虐殺を否定し、靖国参拝や改憲要求、原発推進などにも言及しながら、差別拡大と侵略正当化を図りつつあります。
  こうした差別煽動の実態を明らかにし、新たな被害者を出さないために、制定された防止法も活用しながら法的・制度的・社会的な対策に取り組むとともに、差別煽動の現場での取り組みに連携して取り組みます。
(5) エネルギー政策の地方分権を進め、エネルギー多消費型社会構造・生活構造を変革し、需要に合わせる供給から供給に合わせる需要に転換するよう取り組みます。また、自治・地域分散型のエネルギー供給、再生可能な自然エネルギーの開発・普及をすすめ、温室効果ガス削減を図ります。この立場から、2016年4月から実施された電力自由化を活用し、会員に再生可能エネルギーへの転換を進めるよう呼びかけます。
(6) 原子力発電所の安全性を徹底的に検証・点検して情報公開することを求めます。原子力発電に依存しない社会をめざし、新たな原子力発電所は建設しないこと、休止した炉は再稼働せず計画的に廃炉とすること、原発の設置・稼働に関する検討は事故時に影響を受ける可能性のある全ての自治体を当事者とすることを求めて取り組みます。また、原子力発電事業の海外輸出に反対します。
  原発メーカー・電力会社では原発事業が企業経営の根幹を揺るがし労働者の雇用を危うくしています。そこで働く仲間に対して現実を直視して、原発に依存しない企業戦略への転換要求を掲げて闘うよう呼び掛けます。
(7) 国内ルール・社会的規制より外国の投資家の利益を優先し、社会保障・農林水産業・自主的共済事業を危機にさらすTPPは、米国の離脱により、日本にとって被害性より加害性が強まるものの本質的問題は何ら変わりません。引き続き反対します。また、米国がTPPの代替として要求してくる二国間貿易協議に反対します。
(8) 政権によるメディアへの干渉・圧力を、当該労働者と連携しながら跳ね返します。
(9) これらの課題には、現職労働組合・市民運動組織と連携して取り組みます。この一環として、中央では「フォーラム平和・人権・環境」、地域では平和運動団体との間で加入・連携を進めます。また、戦争法反対運動で運動を共有した「戦争をさせない1000人委員会」、シールズ・学者の会などで構成する「市民委員会」などとの連携を強めます。また、自治労と協力して活動しているアジア地域のこどもの支援組織「NPOエファジャパン」の活動を支援します。
  また、国連の「UNDP(国連開発計画)」が中心となって2030年を目標に貧困の撲滅・不平等の是正に取り組んでいる「SDGs(持続可能な開発目標)」に注目し、可能な範囲で連携を図ります。


<平和と人権・環境と地方自治の情勢と課題>

(1) 安倍政権は、解釈改憲という立憲主義を否定する手法で一連の戦争法を強行可決した。ここでは、日本国憲法を無視し、日米安保条約さえも黙殺・素通りし、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)と日米地位協定で全てを律する手法がとられた。加えて「自民党安倍総裁」は傲慢にも2020年までに第9条に自衛隊を位置づける第3項を付加する改憲を行うと表明した。自治退は立憲主義否定、国民統制の改憲に反対し、日本を戦争に導く戦争法廃止に向けて広範な市民と連携して闘う。
(2) 憲法に定める表現の自由を空文化させる特定秘密保護法による表現・思想信条の自由の圧殺を許すことはできない、法の廃止を求める。また、これと同根の教育の統制・反動的教科書選定、「日の丸」「君が代」強制の条例化等は次世代教育をゆがめ、演劇・文学を含む表現の自由をも犯す。特高警察の再来・戦前回帰を許すことはできない。加えて治安維持法の再来である「共謀罪法」は、国連人権理事会特別報告が表現の自由を不当に制約する恐れがあると危惧を表明しているように、監視と密告、恣意的な警察の捜査と刑罰の社会へ極めて短時間で移行させる可能性を持っている。
(3) 安倍政権は、一方で先の大戦を自存自衛の戦争と正当化する靖国神社参拝に象徴される戦前型の偏狭なナショナリズムを振りかざしつつ、他方でアメリカに迎合してその下働きに徹した買弁的政策をとるという奇妙な行動をとっている。自治退は日米地位協定の改定を要求し、日米ガイドライン改定に反対し米軍再編や在日米軍基地のあり方について見直す方向で日米協議を進めるべきことを主張する。
(4) 辺野古新基地建設は、1966年の米軍のマスタープランで計画されていたが、施政権が返還されていなかった当時、建設費負担を嫌う米国内財政事情等で見送ったといわれる。返還後は基地の建設・維持経費が日本政府負担となったため、米軍は老朽化した普天間に代えて辺野古に新基地を建設することを求めていた。少女暴行事件で沸き起こった県民の怒りを逆利用してこの計画を復活・推進しようとしているのが現計画の本質であり、怒りや不幸に付けこみ逆手に取って利用する日米政府の卑劣さを表している。
  県知事選挙はもとより地元の名護市長選挙、衆・参両院の国会議員選挙や県会議員選挙など幾多の選挙で「辺野古新基地建設反対」を公約した候補が当選しており、県民意思は明確にされている。わけても知事選挙では、辺野古を承認した前知事が立候補して、自らすすめた埋め立て承認を県民に問うと訴えたが10万票の大差で県民に否認され落選した。これにより辺野古新基地建設は県民による事実上の県民投票で拒否が証明されている。にもかかわらず政権はこれを無視し、加えて醜いほどの法制度乱用により基地構築を強行している。このような安倍政権の沖縄差別政策は沖縄戦に続く「捨て石」作戦に見えて県民の怒りが高まっている。私たちは、政府に対して地方自治を尊重し、法治主義による公正な国家統治の実現を求め、直ちに沖縄への差別を取りやめることを求める。 許しがたいことに、安倍政権は埋め立て工事着工を強行したが、私たちは決してあきらめることなく沖縄県民と連帯して運動を続ける。
(5) 米軍・自衛隊基地とそこに配備された兵器は市民生活と環境を破壊し続けている。在日米軍基地所属のオスプレイは、16年12月沖縄で墜落、17年8月オーストラリアでの墜落及び大分空港への緊急着陸など事故を繰り返しながら、日本国中で飛行を続けている。日本政府は「事故原因究明までの飛行自粛要請」が毎回完全に無視されているにもかかわらず「理解」を示す。この関係のまま佐賀空港への配備計画が強行されれば実質的な米軍基地化に直結する。自衛隊のオスプレイ購入・配備を許すことはできない。
  また、米軍艦載機は岩国・厚木基地周辺で深夜を含めて訓練飛行を続け、住民は凄まじい轟音と危険に悩まされ続けている。
  「沖縄の負担軽減」は日本全国に米軍をばらまくことではなく、国外への撤去でしか実現しない。
(6) 既成政党への失望から、「単純で力強い」言説に魅かれる市民が増え、大国主義・国家主義・時代錯誤の戦前回帰の政治潮流との連動が危惧される。また、国会・自治体議会で、保守系議員を中心に人権を傷つける暴言・野次が相次いでおり、これらの言動がヘイトスピーチを煽っている。本人の資質がいかに貧しくとも公人の発言は関係者を深く傷つけ、国内外を汚染することを軽視してはならない。また、一連の反動化は散発的に生まれているのではなく宗教団体・「ジャーナリスト」・保守政治家らで作る「日本会議」を軸に、反動的教科書採択運動とあいまって組織化されつつあることに留意する必要がある。
(7) この間政権・与党は放送法による電波停止命令を振りかざして体系的なメディア統制を展開しており、政権の意向を忖度したメディアの萎縮が顕著になっている。また、主要なメディアの一部は読売・産経新聞のように社是として露骨に自民党政権擁護をしている。一見政権批判をしているようでも根本では政権に取り込まれているものもあり、大手メディアに平和と民主主義の危機を回避する役割を期待することは難しくなりつつある。
  政権とその意を受けたメディアの誘導・支配に屈しないためには、市民は事実を知り、それを自ら判断して行動・発信する必要がある。
(8) 現在のエネルギー政策は、国の責任で無制限な需要に応える集権的な供給構造を前提としている。また、福島原発事故から何も学ばず、原発依存を変えようとしていない。
  これを転換し、地域自治でエネルギー政策決定、適正な供給量に対応する需要コントロール、多様で分散型の供給システムとすべきである。あわせて再生可能な自然エネルギーの開発普及により、温室効果ガスの削減を図るべきである。このために、国・企業・個人がそれぞれの持ち場で取り組む必要がある。2016年4月から小口契約者も自由に購入電力を選択することが可能になり、従来からの大手電力会社によって強制的に買わされてきた電力を、市民が市場経済を通じて拒否できる力を持った。発電と送配電の完全分離により再生可能エネルギーへの妨害排除、電源構成の公表義務化、再生可能エネルギー発電事業者の育成など課題は山積しているが、この絶好の機会を活かして運動を進める。
  国連が呼びかけた「責任投資原則(PRI)」(投資の際に、環境保護や社会的責任を果たす企業行動に着目して投資先決定の優先条件にする)は環境を守る上で有効な手立ての一つとなる。一部の公務員共済年金で開始された年金積立資金の「責任投資」運用や、連合の「ワーカーズキャピタル」の取り組みもあって実現したGPIFの責任投資原則への署名を活用して各領域で推進が期待される。
(9) 原子力発電所について、「安全性」宣伝の嘘が東日本大震災に伴う福島原発苛酷事故で顕在化した。世界の原発の事故やミスは大小合わせると2時間に一回は起きているといわれ、現代の技術でゼロにすることはできない。一旦レベル6、7の事故が起きると、数万年~数十万年環境にその影響が残る。事故収拾に使われる費用は、天文学的数字にのぼり、当該企業はもとより国家予算、ひいては国民の生活にも重大な影響を及ぼす。15年5月、大飯原発再稼働差し止め訴訟に対して福井地裁が原告住民勝利判決を出した際「被告(電力会社)は原発の稼働が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている。このコストの問題に関して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失である」と述べたことを再確認すべきである。
  連合は慎重な検討のうえ原子力エネルギーに依存しない社会をめざす方針を決定した。自治退はこれを共有したうえで一歩を進め、全ての原発の徹底した安全性検証と情報公開を求め、原発新設はしない・休止した炉は再開せず計画的に廃炉にすることを求める。
  熊本地震は川内、玄海、伊方のほか全ての原発にも重大な危険性があることを改めて示している。
(10) 政府はTPP参加について6年半の交渉を終え、多くの国民、関連団体の反対を押し切って16年2月4日TPP参加に署名し、第190国会に批准と関係法案を提案し、16年12月10日に成立させた。
  政府は交渉中はもとより調印批准の国会審議に対してさえ一切の協議過程を明らかにせず、経済産業・社会ルールを破壊する条項に関する屈服と密約を隠したまま批准を図ろうとした。しかし秘密交渉を担当した甘利大臣が別件の企業からの口利き料受取の容疑で辞任、衆議院で審議を担当する委員会の西川委員長が、国会にも黒塗り資料しか出さなかった協議内幕を自著で暴露したとされるなど、腐敗とたるみが表面化した。
  アメリカは当選したトランプ大統領が離脱を決定したため、条約の今後の姿は不明確だが、条約の本質は何一つ変わっておらず、発効すれば日本にとってはアメリカにねじ伏せられる度合いが減り、他のアジアの参加国に対する加害の度合いが増すだけである。また、二か国間協議で押し付けられるトランプ政権の要求は、TPP交渉の問題点を大きく増幅するものになりかねない。
  このまま進行すれば、公的国民皆保険・自主共済・郵貯簡保等を危機にさらすとともに農林水産業に打撃を与え、ISDS条項により国内の社会・経済的ルールより外国の投資家の利益を優先することになる。また、不公平著作権も固定化される。自治退は改めてTPPに反対する。